製造現場やその他の業種では、精密な温度管理を必要とするケースがたくさんあります。現在は測定した温度を電気信号に変換してデジタル処理を行う方法が一般的で、データを記録したりコンピュータ制御でヒーターや冷却装置をコントロールします。温度管理を行う場合は、用途に応じて温度計センサーを正しく選択する必要があります。センサー素子には熱電対式と電気抵抗式の2種類がありますが、いずれも測定が可能な温度領域と精度が異なるからです。
温度計センサーを使用する場合は、中心温度と精度の2つの点に留意して最適なものを選ぶことが大切です。中心温度というのは測定をする環境における温度のことで、例えば食品を冷蔵保存する場合は10℃前後で正確かつ長期間にわたり測定ができる素子を選ぶべきです。測定精度も重要で、どれだけ精密に管理をするかによって精度に違いがあります。例えば部屋の室温を計測するだけであれば、プラスマイナス0.5℃の精度があれば十分です。
これに対して人間の体温を測定したい場合は、プラスマイナス0.1℃の精度が求められるでしょう。ターゲットとする中心温度の異なる素子を使用すると、誤差が大きくなってしまうので注意が必要です。温度計センサーに多く用いられている熱電対は、使用する金属材料の組合わせによって中心温度と精度に違いがあります。電気抵抗式のセンサー素子についても、範囲によっては電気抵抗が直線的に変化せずに誤差が大きくなってしまうことがあります。